高齢者の本格的筋力トレーニング

目的

高齢者の身体状況・能力に応じて体幹や脚の筋力を鍛え、フレイル(注1)を予防し関節の動きを保ち、最後まで自分の脚で歩けるようになることを目指す。
 (注1)高齢者に加齢に伴う臓器機能や生理的予備機能が低下することで、ストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡等の転機に陥りやすい状態。

初めに

高齢者は、加齢で筋肉が減るサルコペニア(注2)という状態になりやすい。筋力低下し、歩く速度が低下、疲れ易くなるので運動量が減る。
その為食欲も低下、食事量も減り歩行が遅くなり、日常生活に支障をきたすフレイル状態になり、要介護や寝たきりになるリスクが高くなる。
 (注2)サルコ(sarco)は筋肉、ペニア(penia)は減少を意味するギリシャ語。進行性、全身性の骨格筋減少と筋力低下。日常生活動作・生活の質の低下と死のリスクを伴う。

運動の実際その1

  • 整形外科やさくら苑における筋肉トレーニングではフレイル予防を意識したメニューが組まれる。具体的には整形外科及び内科の医師が筋力トレーニングや有酸素運動が可能かどうかを診察し、運動の負荷も無理がないよう決める。
  • 運動の実際では、理学・作業療法士が指導、運動器具を使いながら運動する。
    いままでは、経験則に基づいた軽度の運動が中心だったが、これでは必ずしもフレイル予防には効果がない。
  • フレイルを防ぐには、科学的な根拠に基づき筋力トレーニングで筋肉を増やしたり、有酸素運動で心肺機能を強化したりする必要がある。
  • 機能訓練特化型リハビリテーションで筋トレと有酸素運動を定期的に続けることによりフレイルの予防や脱却を目指せる。

運動の実際その2

フレイル予防の筋トレは主に3種類に分かれる。

  • 第一は運動機器を使うマシントレーニングだ。負荷を付けた板を両足で押すレッグプレス①やエアロバイク②、その他の脚を鍛える機器③④により科学的な根拠に基づく筋力トレーニングで筋肉を増やす。

マシントレーニング器具

  • 上肢マシンは⑤⑥、腕や肩・背中、胸の筋肉を鍛える運動により頭痛・肩こりが楽になる。
  • 有酸素運動⑦⑧による心肺機能の強化により脚のふらつきが減る。

上肢マシン・有酸素運動

  • 医師主導のもと感染防止対策には万全を期している。
  • 前述のように訓練室内は広く、風の通り道を設けclose distanceを避けることが保たれている。
  • 踏み台の上がり下り、エアロバイク⑨、トレッドミル⑩なども有効だ。これらの運動は転倒防止に役立つ。

エアロバイク・トレッドミル

  • 6~10人で行う集団体操も有効だ。「風の通り道」を設け、キープディスタンスで隣人との距離を保ち運動する。当医院ではそれを可能にする充分な空間を有している。

整形全体・さくら運動室

  • 仕上げは理学・作業療法士による個別トレーニングだ。筋肉のストレッチや関節可動域を改善・維持する。
  • 施設で行う機能訓練特化型リハビリテーションの最大懸念が新型コロナウイルス感染だが、前述のように訓練室内は広く、風の通り道を設けclose distanceを避けることが保たれている。